喜劇の可能性

今回は、結婚について、かなり真面目に考えてみました。・・・する気も無いのに。笑

「結婚はやはり一つのテストだ
みんなが真剣にそのテストに取り組むとき、そこに喜劇の可能性が生まれる。」
カート・ヴォネガットスラップスティック』より)

最近、結婚の話題を振られることが多くなりました。同期は続々と結婚してますし、年長の方は、僕くらいの歳の者に結婚の何たるかを語るのがお好きなようですしね。苦笑
個人的な希望を言えば、僕は一生独身で行きたいんですがね。結婚は、僕には合わない。絶対に。想像しただけで、マリッジブルーさ。笑
でも、結婚というものがどういうものか、興味はありますね。「婚活」ブームで、(一方で「離活」もブームになりつつあるようですが・・・。)結婚に関する情報も色々と入ってきますから。
先日見たNHKの「日本のこれから どうする未婚社会」という番組はなかなか面白かった。
この番組によると、(テレビ見ながらメモっただけなので、ひょっとすると間違いがあるかもしれないが)現在の生涯未婚率は、男性が約16%、女性が約7%ですが、予想では2020年には男性が約30%、女性が約23%になるんだとか。
若者で将来的には結婚を考えている人が男女ともに90%を超えているデータからすると、やはり結婚したくてもできない人が増えている、というのが現状のようですね。
結婚したくてもできない人が増えた理由については、これも最近よく聞く草食男子の増加、女性が男性に求める年収などのハードルが高過ぎる(20〜40代の女性に聞いたアンケートでは、女性が結婚相手に求める年収は、400万円以上が6割、1000万円以上というのも2割、という結果だったようです。)、社会的不安による影響、などの意見がありましたが、結婚したくてもできない人にアンケートを行った結婚の障害となるものは、1位・資金、2位・職業上の理由、3位・住居、という結果でした。
現在景気がよろしくない(底は打った?)のは確かですが、結婚資金の捻出が大変であることは、以前からそうであったでしょうし、他の点についても、昔に比べて特別に悪化しているとも言い難いのではないでしょうか?これらの問題そのものが深刻化したというよりも、当事者の内面でこれらの問題の重要度が増した、つまり、考えすぎて躊躇してしまう、というのが現在の傾向であるように思います。
みなさん、合理的に問題を処理しようとして、解決策が見つからないようですね。
しかし、考えてみると、結婚という行為そのものが、理屈の上ではナンセンスなものじゃありませんかね?だって、たかだか数年や数ヶ月の好調で、50年契約を結ぼうって話ですからね。その後の人生で、自分が、相手が、環境が、どう変化していくかなんて、分かりませんよ。
つまり、考え抜いて結婚に辿り着こうとして、いつまで経っても結論が出ずに行動できない、というのは、当然のことでしょう。
そこで、人はなぜ結婚するのかという問題に舞い戻る。

・・・そこに愛があるからさ!!!!!!!

・・・こういう台詞は僕には似合いませんね。笑
でも、これは割と真面目に考えてそう思った話で。理屈で考えて無理な以上、感情という強力なエネルギーの後押しがあって、初めて結婚というものが可能になるのでしょう。
そして、理屈よりも感情を優先して、結果、幸福を得た夫妻が数多く存在するのは言うまでもない。(もちろん、そうならないケースも多数ですがね。)
ま、これは、当たり前の話かも知れませんが、考えてみると、なかなか面白い問題でね。経済学者のロバート・フランクという人が、社会には、合理的な人間には解決できない問題が存在し、感情とはそういった問題に対する適応プログラムとしての役割があり、問題によっては、合理的な人間よりも、非合理的な人間、感情的な人間の方が有利な結果を得ることができる、と主張しています。(具体的にどういうことか説明すると、非常に長くなるので省きますが。詳しくは、ロバート・フランクオデッセウスの鎖 適応プログラムとしての感情』あるいは、山岸俊夫『社会的ジレンマ』。)
浅学にして、この説について詳しいわけではありませんが、結婚という問題も、この説によって説明できるのではないかと思います。
つまるところ、結婚したくても、考え過ぎてできない人は、頭を使うのもいいけど、もっと自分の感情、心を信じて行動してもいいんじゃないの?という話。
ま、結婚すれば全てがうまくいって自分に幸せが転がり込んでくると思いこんでる夢見るお嬢さんには、もっと頭を使うことをお勧めするがね。冷笑
しかし、感情のまま行動して失敗する、というのもよくある話。これは、我々の感情は、信じるに値するものと、そうでないものがあるからではないでしょうか。
そうであるならば、結婚に際して、信じるに足る感情とは何か?
それはズバリ、「好意」という言葉によって表すことができるでしょう。

「恋愛と情熱とは消えことがあっても、好意は永久に勝利をつげるだろう。」(ゲーテ『温順なクセー二エン』第3集より)

燃えるような恋慕の情は、短期的にはあまりあてにならず、長期的には全くあてにならない。
心理学の見地から言っても、「恋愛感情」は、3年程度しか保たないようですね。
そういった感情が冷めてしまっても、家族として、互いに好意を持っていくことができるか否か、それが結婚において重視すべき判断基準と言えるでしょう。

「恋から生まれた結婚は、ワインからとれた酢
悲しく、すっぱく、酔えない飲み物。
かぐわしい天上の美味も日々にすえ、ありふれた家庭料理の味となる」(ジョージ・ゴードン・バイロン

大事なのは、家庭料理の味を好きになれるかどうかさ。比喩的な意味においても、そうでない意味においても。笑