一人前

う〜ん、どこの球団からも指名してもらえなかったか・・・。
はい、お約束ということで。笑
さて、夕方、バイトに行く前に近くの河川敷をランニングするのが僕の習慣なんです。
今日もいつものようにランニングに行ったんだけど、その時、小学2・3年生くらいの男の子が、草むらに入ってしまったボールを探してたんです。僕も自分のトレーニングがあるから放っておいたんだけど、6周した時点でまだ探してるんです。1周、4・5分のペースで走ってるから、彼は30分くらい探してるんですよね。
さすがに気の毒になって、一緒に探してあげたんですよ。
が、なかなか見つからなくてさ、正直に言うと、だんだんやる気がなくなってきたんですよね。苦笑
それで、内心、(これ、見つからねぇよ。枝とか手に刺さるし、寒くなってきたし、このままやってたらバイト遅れちまうし。そうだ、そろそろ暗くなってきたから、捜索を打ち切ることにしよう。暗くなったら危ないしな。これは彼のためなんだ。決して自分がめんどくさくなった訳じゃないぞ。)と勝手な大人の理屈を組み立て、その旨を彼に伝えようと彼の方に首をひねったその時、視界の隅にソレが映った。
ということで、さっきまで心の中にあった諸々は無かったことにして、「はい、コレ。見つかって良かったな。もう暗くなってきたから気をつけて帰るんだぞ。ハッハッハ!」と、ボールを渡してあげました。
すると、その子が真っ直ぐ僕の目を見て、「ありがとうございました!」って言ったんです。なかなかしっかりした子だったな。これを見て、さっきまで情けないことを考えてた自分を恥じましたよ。
最近、こんな風にきちんとお礼の言える、挨拶のできる子どもって少ないと思うんですよね。仕事で子どものお客さんに本を探すように頼まれることも多いんだけど、見つけて渡してあげても、お礼を言う子はほとんどいない。お礼どころか、目も合わせませんからね。
子どもでも、その辺はきちんとした方がいいと僕は思うんだよ。
僕は今、子どもと関わるボランティアをやっていて、来月からは、今までとは違う形で子どもと関わるボランティアに挑戦するつもりなんです。そのために、子どもについて勉強もしてるんだけど(教育学部時代、全然勉強してなかったので、今苦労している。)、その中で、保護されるものではなく、権利主体としての子どもとそこに問われる責任って話はなかなか奥が深いと思う。そこには、少年犯罪の厳罰化などの問題も絡んできて、様々な議論があるんだろうけど、「一人前として扱われたかったら、子どもだって、きちんとしないとダメだぞ」ってのは、一理あると思う。
前に読んだ川上健一と北方謙三の対談で、印象的だった川上氏の発言があるんです。
「ぼくが、物語で大人が子供に初めて会ったときによくいわせる言葉があるんです。「男同士が挨拶するんだから目を見て挨拶しよう」。この言葉は誰かがいったのか何かの本に書いてあったのかは忘れましたけど、子供の頃、なんで大人は子供を一人前の人間として見てくれないんだろうというのが、ぼくの中にずっとありましてね。」(「青春と読書」2005年11月号より)
まずは挨拶から、ってのは良いと思いますね。もちろん、男同士に限らずに。