久しぶりに、本の話を。
村山由佳、「天使の卵」。

そのひとの横顔はあまりにも清洌で、凛としたたたずまいに満ちていた。19歳の予備校生の“僕”は、8歳年上の精神科医にひと目惚れ。高校時代のガールフレンド夏姫に後ろめたい気持はあったが、“僕”の心はもう誰にも止められない―。第6回「小説すばる」新人賞受賞作品。みずみずしい感性で描かれた純愛小説として選考委員も絶賛した大型新人のデビュー作。

さらっと読める恋愛小説ですね。話はありがちかもしれないけど、だからこそ、読者は人間の気持ちについてあらためて正面から考えさせられるのかもね。
それから、文章がきれい。色に例えると、水彩絵の具の青もしくは緑にたっぷり水を混ぜて、薄く塗った感じ。
でも、主人公には共感できなかったな。僕とはものの考え方が違うみたいだ。ただ、好きな人をモデルに絵を描くってのは素敵な作業だね。
天使の卵 エンジェルス・エッグ (集英社文庫)