宮部みゆきさんの原作を映画化。
原作は「ブレイブ・ストーリー」なんだけど、映画は「ブレイブ ストーリー」なんだよね。


ワタルはどこにでもいる平凡な11歳の少年。ある夜、親友のカッちゃんとふたりで幽霊ビルの中を探検をしていたワタルは、階段の上に浮かぶ奇妙な扉を見つけ、その中へ入っていくミツルの姿を目にする。ミツルは、成績優秀、スポーツ万能、おまけにルックスもいいと評判の隣のクラスの転校生。女の子に騒がれても、笑顔ひとつ見せないクールで大人びた少年だ。「あの扉の向こうには何かあるの?」と問いかけるワタルに、ミツルは真顔でこう答えた――
「扉の向こうに行けば、運命を変えられる、ひとつだけ願いが叶うんだ」

いつもと同じように始まった一日が、いつもと同じように終わっていたら、ワタルはその扉を開けることはなかったかもしれない。
しかし、ごく普通の平凡な幸せは、何の前触れもなく突然崩壊した――大好きだった父親が、家族を捨てて家を出ていってしまったのだ。
あまりのショックに母親は倒れ、救急車で運ばれていってしまう。
慌しく病院の奥へと運ばれて行った母親の姿を見つめていたワタルの胸に、ひとつの思いがこみ上げた――
「こんな運命間違ってる!」

その時、「運命を変える」というミツルの言葉が、ワタルの脳裏によみがえった。
その言葉を信じ、ワタルは幽霊ビルへと向かったのだった。


思った通り、怒涛のごとき展開の速さでしたね。苦笑。長編の映画化ということで仕方ないのかもしれないけど、原作のかなり重要なシーンも省かれててその点は残念でした。
アニメ映画ということもあって、子ども向けなかんじですね。原作は大人の方が楽しめるくらいだと思うんですけど。原作の紹介でも書きましたけど、この作品はファンタジーとしての質以上にそこに込められたメッセージ性の高さが重要だと僕は思うんです。だけど、映画ではそのようなメッセージ性は薄れて、普通のファンタジーに近づいた印象です。
この作品をファンタジーとしての面だけから見ると、勇者の剣、魔法使いのおじいさん、トカゲ男、火を噴くドラゴン・・・とベタなものが多いんですよね。でも、原作ではなぜベタなものが多く登場するのか理由が説明されてるし、そのことは物語の本質と深く関わってるんです。だけど、これも映画ではカットされてる。映画だけ見た大人の人には是非原作を読んでもらいたいですね。
原作を読んだ者としてはがっかりした面もあったけど、作品の質としては悪くないんじゃないでしょうか。映像はきれいだし、音の迫力がありましたね。劇中の音楽は、日本では録音が難しくて海外で録ったらしいし。あと、何パターンもあるCMが面白かった。笑。「ブレイブ ストーリー」のHPで見られますよ。